01 免疫系は自分で自分を守るしくみ

免疫学の進歩とともに「免疫」の定義も変化している

免疫の語源である「疫病を免れる」は「ある感染症から回復した人は2度と同じ感染症にかからない」という経験則に由来する。

初期のうちは、これが免疫の概念であった。

免疫学は、エドワード・ジェンナーが種痘からワクチンを開発したことに始まる。

その後1889年に、北里柴三郎やエミール・ベーリングが抗体を発見したことによって急激な発展をとげてきた。

抗体とは、抗原の注射によって動物体に生産されるタンパク質である。

この発展にともない、免疫の概念は初期のものとはかなり変わってきた。

現在では、免疫を「生体が自分と自分以外を認識し、自己以外のものすべてを排除する反応」と定義する学者が多い。

要するに、免疫とは、拒絶反応のことである。

学問的にはこれでいいのかもしれないが、わたしたちの生活においては、この定義では困る。

理由はこうだ。

免疫系で活躍する白血球には、多数派の顆粒球、少数派のリンパ球、ごく少数派の単球がある。

このうち、「生体が自分と自分以外を認識し、自己以外のものすべてを排除する反応」にかかわるのは、白血球のうち少数派のリンパ球だけであって、 多数派の穎粒球はかかわっていない。

これでは、多数派の顕粒球は免疫系にかかわっていないことになってしまう。

一方、病気の状態からもとの健康な状態にもどすのが自然治癒力であり、その中心ではたらくのが免疫系である。

したがって、学問的定義とは異なるかもしれないが「免疫系とは、生物が生きていくために自分を守るしくみ」と定義したい。