02 わたしたちを襲う病原体とがん

人間は無数の敵と味方に囲まれて生きている

無数の敵の代表は、バクテリアやウイルスなどの病原体のことである。

病原体が人体に感染すると、発熱、嘔吐、腹痛、下痢、筋肉痛などの不快な症状があらわれる。

また、多くの動物は毒物を放出する。

この毒が人体に入っても病気になる。

病原体や毒は人体にとって有害であるから、これらを「敵」と総称しよう。

免疫系では「敵」のことを「抗原」と呼んでいる。

病原体も生き残るために必死であるから、わたしたちが油断やスキをみせればすかさす、人体に侵入して感染する。

たいていの場合、毒や病原体は人体の外側にいるが、ときには人体の内側にもいる。

それが、がん細胞である。

がん細胞は、もとはといえば人体を構成する正常細胞である。

正常細胞の寿命は決まっていて、一定の回数(通常60~80回)の分裂を終えて死ぬ約束になっている。

だが、遺伝子に変異が生じると、この細胞が死ななくなる。

つまり、細胞の死ぬという約束が破られる。

約束を破り、死ななくなった異常細胞は限りなく増殖を繰り返す。

これをがん細胞と呼んでいる。

このがん細胞がどんどん増殖すると、わたしたちの命が危なくなる。