06 命の危険から身を守るストレス

ストレスで肩が凝る、ストレスで不安がつのり、夜もオチオチ眠れない、ストレスでやけ食いして太ってしまった……など、 どれもが、日常、よく耳にする言葉である

どうやら、ストレスという言葉は、病気を起こす元凶のように思われ、嫌われている。

また、ストレスが三位一体のバランスを狂わすことはすでに述べた。

ストレスはそれほどいけないものなのか。

ここに生命を脅かすほどの強力なストレッサーが襲ってきたとしよう。

これに対処するために、人体では、分子、細胞のレベル、生理学的、行動のレベルで変化があらわれる。

暗い山の夜道を1人で歩いているとき、目の前にヘビがあらわれた。

歩行中に、突然、車が接近してきた。

こんなとき、わたしたちは瞬間的に身をかわす。

わたしたちに命の危険が迫るやいなや始まるストレスは、 人体を危険から避けさせるばかりか危険の到来を全身に知らせる「警報器」にもなっているのである。

警報器が鴫ると、まず、注意力が極度に高まり、恐れがやってきて、「戦いか逃走か」といった、緊急事態に対応する態勢をすばやく整える。

これと同時に、食欲、性欲、睡眠欲などは低下する。

いざというときに、食べていたり、性交したり、眠っていては、迫る危険から逃げることも、敵と戦うこともできないからだ。

「ヘビのようにもみえるが、もしかして曲がった木ではないのか。もう少し様子をみてみよう」「近づいている車は、 もしかしたら自分の前で曲がるのではないのか」などと熟考して判断を下す時間的な余裕はない。

いざというときに、のんびリラックスしていたのでは、絶えず動物たちや異なる部族と戦っていた現代人の祖先は生き残れなかっただろう。

わたしたち現代人は、緊張感いっぱいの生活を送っていた古代人の子孫なのである。

嫌われているストレスではあるが、実は、わたしたちを命の危険から守っている警報器であるから、なくては困る。

では、ストレスは強いほどいいのか。

言い換えれば、警報器の発する音は強いほどよいのかというと、決してそうではない。

もしストレスが強すぎれば、脳の興奮が続いておさまらない。

不安のためにソワソワし、落ち着きがなくなり、勉強や仕事に集中できなくなる。

不眠症にもなる。

かといって、警報器の音が小さすぎては危険を見逃してしまう。

これではとっさに危険から身をかわすことができない。

健康を維持するには、脳が覚醒しつつも、脳が興奮しすぎることのない適度のストレスが必要なのである。

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