まえがき

ケガをしても、カゼをひいても時間がたてば自然に治る。

これは、人間がもともと持っている生きる力、自然治癒力がなせるわざである。

体が病気から回復するのに10の力が必要とすると、自然治癒力は9、医療と薬は1である。

この比率は正確ではないが、病気からの回復には自然治癒力が主役で、医療と薬は脇役であることに変わりはない。

しかし医療従事者と患者は、医療と薬が治癒の主役で、自然治癒力は脇役であるという根本的に誤った考えを抱き続けてきた。

レーザー手術、内視鏡手術、人工心肺などのハイテク医療機器、生体内の特定の分子のはたらきを促進したり、抑えたりする分子票的薬などに代表される現代医学。

そのハイテク医療機器の進歩のあまりの速さに、医師の技術習得が追いつかない。

分子標的薬を使いこなすのに、高度な専門知識が要求されるが、多くの医師はこの訓練を受けていない。

現代医学による医療事故が絶えないのは、無理もない。

アメリカ医学会は、アメリカで現代医学によって毎年約25万人の死者が出ていることを認めている。

このため、現代医学から自然治癒力を高める代替医療への関心が高まり、移行が始まっている。

代替医療とは現代の西洋医学以外の医学や医療のことで、漢方、鍼灸、指圧、アユールベーダ、アロマセラピー、サプリメントやハーブ療法、呼吸法などが含まれる。

たとえば、アメリカでは毎年約3兆円が代替医療に使われ、雑誌『メディカルケア』によれば、1999年には28.9%のアメリカ国民が一度は代替医療を試みた。

また、アメリカの大多数の大学の医学部が教育カリキュラムに代替医療のコースを含めている。

今こそ、病気からの回復の主役である自然治癒力に目を向けるときである。
この自然治癒力を構成するのは、脳、免疫系、内分泌系の3者である。

この3者のバランスがうまくとれたとき、正三角形となり、強力な自然治癒力が発揮される。

しかし、ストレスが強すぎると、この三角形はバランスを失う。

そうなると、その一角を占めている免疫系の働きが弱まり、感染症やがんにかかりやすくなる。

病気の80%はストレスが原因と理解されている。

そこで求められているのは、ストレスにうまく対処していく方法である。

このサイトでは、こうした人間に備わっている自然治癒力のメカニズム、この力を支える脳、免疫系、内分泌系のはたらき、これらを脅かすストレスの正体とその対処法、また自然治癒力を高める具体的な方法までを解説した。

筆者は、現代医学を否定したり、不要だなどと主張するのではない。

現代医学は救急医療には欠かすことができない。

また、診断による病気の早期発見と継続的な治療も重要であることを十分に承知している。

代替医療も現代医療も、人体の自然治癒力を最大にするために相補的な役割を果たすべきである。

遺伝子DNAの鎖が1本ではなく2本で存在するように、また、人間社会に男と女がいて互いに補いあって生きているように、代替医療も現代医療も病気の予防と自然治癒のよきパートナーであるべきだ。

以上のことを念頭において、このサイトを読み通せば、免疫と自然治癒力のしくみとその重要性を理解していただけるであろう。

このサイトがあなたにとって、病気と健康についての知識を深め、より健やかに生活する一助となれば、筆者としてこのうえない喜びである。

生田 哲

 

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免疫と自然治癒力のしくみ