免疫と自然治癒力についてやさしく解説いたします。

01

1章 脳・免疫系・内分泌系が支える自然治癒力

01 切れたアキレス腱がつながった!

腱と腱をつなぐコラーゲンという糸

野生動物はケガをしても傷口をなめるだけで治す。

手術をすることも、薬をつけることも、包帯を巻くこともない。

傷が自然に治るばかりか、トカゲなら尻尾を切つてもまた尻尾が生えてくるし、サンシ∃ウウオなら足を切つてもまた伸びてくる。

下等動物の再生能力は恐るべきものがある。

ヒトに代表される高等動物は、切断された手足が生えてくるほどの再生能力を持ち合わせていないにしても、 出血が止まり、傷□がふさがり、削られた肉が盛り上がつてもとにもどるほどの再生能力を持つている。

このように動物やヒトが病気やケガから自動的にもとの状態にもどる力のことを「自然治癒力」と呼んでいる。

自然治癒力(または単に治癒力)がわたしたちに備わつていることを実感するのは、ケガから回復したときであろう。

わたしの苦い経験を紹介しよう。

ある年の暮れ、わたしは運動中に床の上にバッタリ倒れた。

左足を動かせないので、右足だけで跳びはねて移動し、ようやくイスに腰かけた。

運動靴と靴下を脱ぐと左足はバンバンに腫ね上がつていた。

わたしは、倒れる直前、まるで誰かに左足のすねの裏側を強く蹴られたかのように感じた。

もちろん、蹴つた人は誰もいないのだが.. ……。

左足の指を意志で動かすことができたので、アキレス腱が切れたとは思わなかった。

その日は忘年会があつたので、夕方、左足を引きずりながらも出席。

騒いだり、おしゃべりを聞いたら楽しかつたせいか、足の痛みを感じなかつた。

事故から4日後、左足の腫れはいくぶん引いたが、痛みは続く。

歩行は無理なので、タクシを呼んで近所の整骨院を訪問した。

さっそく、わが左足を診察した院長は、アキレス腱の部分が小指1本ほど陥没していることを発見した。

悪い知らせです、と前置きし、「アキレス腱の全部ではないけれど、一部分が切れています。

アキレス腱の部分断裂です」と告げた。

院長はわたしに2つの選択肢を示した。

それは、外科で手術してからつなぐか、それとも、切らずに、 このまま足を固定して切れた腱が自然にうながるのを待つかというものだつた。

「切れていないアキレス腱の部分をわざわざ切つてからつなぐ」という発想が腑に落ちないわたしは、 外科での手術よりも接骨院での自然治療を選択した。

足先を少し垂らした形をとると、腱の切れた部分が近づく。

その形で固定し帰宅した。

接骨院から週2回の往診をしてもらい、固定をとりはずして左足のマッサージを受けた。

こうして陥没した個所が少しずつ盛り上がり、固定から約3か月後、陥没はついに消えた。

とうとう切れた腱がつながつた。

固定がとれて、松葉杖なしで自由に歩けるようになつたときのうれしさは格別であつた。

では、切断された腱と腱はどのようにしてつながつたのか。

まず、腱の修復に活躍するのが、細胞と組胞をつないでいる結合組織である。

結合組織の1つが腱に豊富に存在する線維芽細胞である。

この線維芽細胞は、コラーゲンという糸のように長くて丈夫なタンパク質を生産している。

このコラーゲンが切断された腱の結合組織にまとわりついて、腱と腱をしつかりつないだのである。

こうして負傷した左足は自然治癒し、わたしは歩行できるようになつた。

この出来事から3つのことを学んだ。

1つめは、小さなアキレス腱が切れただけで歩行不能に陥ること。

2つめは、談笑していたら痛みを感じなかつたこと。

3つめは、切れたアキレス腱をつなぐ自然治癒力が人体にもともと備わつていること。






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