免疫と自然治癒力についてやさしく解説いたします。

07 人体はストレスに適応する

4章 ストレスと自然治癒力の関係

07 人体はストレスに適応する

ストレス研究のパイオニアであるカナダの生理学者ハンス・セリエは、ヒトが生きるときに発生する消耗にかかる料金をストレスと定義した

それ以来、この言葉は世界に広まった。

セリエは、ストレッサーが人体に甚大な影響を与え、病気を発生させることを指摘した。

そして彼は、ストレスがかかったときにみられる人体の適応反応を「全身適応症候群」と名づけ、そのプロセスをもののみごとに説明した。

これが「ストレス学説」である。

彼は、ストレスに対する人体の適応反応を3つあげている。

1つめは、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の発生。

2つめは、T細胞をトレーニングする胸腺の萎縮と白血球の集まるリンパ節の萎縮。

3つめは、副腎皮質の肥大である。

ストレッサーは、職場での人間関係、仕事上の不満、競争のつらさ、子育ての悩みなど、無数にある。

だが、人体の適応反応は、この3種類しかない。

この理由を彼はこう理解した。

すなわち、生きているうえで遭遇する無数のストレッサーは、いったん、ストレスに置き換えられ、 その後、胃や十二指腸の潰瘍、心臓病や精神病などの病気になってあらわれる……と。

ストレス学説では、ストレッサーに対する生体の適応反応を時間の経過によって警告反応期、抵抗期、疲はい期の3期に分けている。

第1期の警告反応期は、人体がいきなりストレッサーに出くわしたときで、前半と後半に分けられる。

警告反応期の前半を「ショック相」という。

ストレッサーに対して人体がまだ十分に適応できていない状態である。

だから、人体はショックを受け、血圧と血糖値が下がり、筋肉と神経のはたらきが抑えられる。

ショック相は、ストレスヘの抵抗力が弱く、別の表現をすると、生きる力の低下した状態である。

警告反応期の後半を「反ショック相」という。

生きる力の低下というのは人体にとって不都合であるから、人体はこの状態から脱却しようと懸命に防御を始める。

まず、交感神経系が興奮し、副腎皮質の肥大が起こり、副腎皮質ホルモンのコルチゾールを放出してストレスヘの抵抗を開始する。

これによって人体がしだいにショックから立ち直り、血圧と血糖値が上昇し、筋肉と神経のはたらきが活発になる。

「反ショック相」では、直面するストレッサーに対する抵抗力だけでなく、あらゆるストレッサーに対する抵抗力が強まる。

これを交差抵抗という。

つまり、「反ショック相」では人体の防御はとても強くなり、生きる力が高まる元気のいい状態だ。

だが、この元気のいい状態はいつまでも続かない。

ストレッサーにさらされ続けると、高まった生きる力が一部で弱まってくる。

これが第2期の抵抗期で、人体は警告反応を発生させた特殊なストレッサーヘの抵抗力(特異的抵抗力)は維持するが、 他のストレッサーに対しては抵抗力が弱まる。

それでもストレッサーが取り除かれなければどうなるか。

はたらきすぎは過労の原因となる。

このことは人体の防御機構でもあてはまる。

すなわち、人体はストレッサーヘの防御に疲れて果てて、へたばってしまう。

これが第3期の疲はい期である。

この時期には、胸腺やリンパ節が萎縮し、副腎皮質のはたらきが低下し、体重が減少する。

やがて人体は、エネルギーを消耗しつくして病気になり、最後に死に至る。

胸腺が萎縮すれば、T細胞が減少するので、免疫力が低下する。

そのうえ、胸腺はT細胞に外部からの侵人音を区別する能力を訓練する学校でもあるから、ここが萎縮すれば、 外部からの侵人者と間違えて、自分の細胞を攻撃してしまう。

こうして自己免疫疾患が起こる。

胸腺の萎縮は、免疫力を下げるだけでなく、敵と味方を見極める判断力も失わせるから重大である。






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