免疫と自然治癒力についてやさしく解説いたします。

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1章 脳・免疫系・内分泌系が支える自然治癒力

10 超治癒力はがんの進行を止める

人間は希望によつて生き失望によつて死ぬ

ある特別の環境のもとで自然治癒力が極度に高まり、患者は通常の医学常識では説明できないほどの劇的な回復をとげる。

しかも、こんなことが頻繁に起こつている。

ここでは、これを「超治癒力」と呼ぶことにする。

超治癒力は、わたしたちが、環境から特別のシグナルを受けたときに脳内の「特別の薬局」を活性化することで起こる。

超治癒力はプラシーボ応答の極端な場合である。

超治癒力のもつともよく知られた症例を1つ紹介しよう。

それは、アメリカの著名な心理学者であるブルーノ・クロプファーが1957年に報告したがん患者の症状の変化である。

クロプファーの同僚は、リンパ節に始まつたがんが全身に転移していたライトの担当医であつた。

ライトのがんは、医師がさわって感じることができるほど大きくなっていた。

医師たちは、研究者がまだその効果に納得してはいなかったが、マスコミでは奇跡の抗がん剤として大々的に宣伝されていた「クレビオゼン」という物質の臨床試験を続けていた。

ライトのがんはあまりに進行していたので、医師たちは、この薬の効果を期待していなかつたのだが、それでも彼の気を休めるために処方していた。

だが、まるで奇跡としかいえないことが起こった。

それまで減少を続けていた彼の体重がしだいに増え、気分が向上し、元気が出てきたのだ。

そして、ライトのがんは、まるで雪が解けるかのごとく劇的に縮小していき、検出できないほど小さくなつた。

だが、ライトのがんの改善は最後までは続かなかった。

新間が、クレビオゼンは期待されたほどすぐれた効果がないと報道し始めたのだ。

この記事を読んだ直後から、ライトはすっかり失望し、体重が減少し、それまで縮小していたがんが、再び成長を始めた。

もしかしたら、薬物療法へのライトの反応は、医師の彼への語りかけで変化するのではと推測した医師は、彼をこう激励した。

「実は、最初にあげたクレビオゼンには問題が残っていて効力が十分ではなかったのだよ。しかしこの問題がついに解決した。より効力の高いクレビオゼンがやつてくるから、もう少し待つてください」

ついに新しいクレビオゼンが至着する日が来た。

医師は、以前と変わらぬ態度で、今回は、減菌精製水を彼に注射した。

するとどうだろう。

ライトに前回クレビオゼンを注射したときと同様の劇的な効果があらわれたではないか!

だが、第2回目の彼の回復も最後までは続かなかつた。

「アメリカ医師会がクレビオゼンはがんに無効であると報告した」ことを新聞が記事にしたことで、医師たちの奮闘の土台が完全に崩れてしまつたからだ。

この記事を読んだライトは、失望し、落胆した。

一方、がんは増殖を重ね、巨大化していった。

そしてまもなく、彼は死んだ。

人間は、希望によって生き、失望や絶望によって死ぬことがわかる。






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