免疫と自然治癒力についてやさしく解説いたします。

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1章 脳・免疫系・内分泌系が支える自然治癒力

13 免疫系が病原体を撃退する

免疫系は適度にはたらくよう脳と内分泌系から調節されている

次に、免疫系のはたらきの2つめ、体外から侵入してきた病原体の撃退をみていこう。

毎年、冬になるとインフルエンザウイルスが、わが国やアジア諸国を襲う。

インフルエンザウイルスに感染すれば気管支内膜に炎症が起こり、咳が出て、発熱する。

病原性大腸菌O-157の付着した食物を食べた人は、深刻な食中毒に苦しんだ。

また、空調設備の冷却塔の水にはレジオネラ菌が住んでいることが多々あり、 これが老人や病みあがりの人など免疫力の低下した人に感染すると、急性肺炎を起こす。

しかし、インフルエンザウイルス、病原性大腸菌O-157、 レジオネラ菌といった病原体の襲撃を受けたすべての人が発症するわけではない。

実は病原体が体に入っても発症しない人(自覚できるほどの症状の出ない人)が多いのである。

たしかに病原体は感染症の原因ではあるが、体に入ったからといって、必ずしも病気になるのではない。

発症するかしないか、発症したときの症状の程度は、体の防衛網である免疫系との病原体との戦いの結果にかかっている。

では、病原体と免疫系の兵隊である白血球との戦いをみていこう。

病原体が侵入してくると、ます、炎症が起こる。

炎症は皮膚が赤く腫れ、かゆくて不快だが、このときに、ヒスタミンという物質が炎症の部位から放出されている。

ヒスタミンは「敵が来た」というサイレンのようなものである。

このサイレンを聞いていち早くかけつけるのが、白血球の一種の好中球とマクロファージである。

好中球は、憎い「敵」を飲み込んで分解する。

病原体がバクテリアの場合には、好中球がバクテリアを食べて分解することで感染をくいとめている。

だが、病原体がウイルスの場合、マクロファージは、ウイルスが感染したことをリンパ球に知らせる。

リンパ球にはB細胞とT細胞がある。

B細胞は抗体という特殊なタンパク質をつくってウイルスを捕らえる。

抗体に捕らえられたウイルスは、新しい細胞に感染することはできない。

また、抗体は、ウイルスの生産する毒素を分解することで、人体を毒素の被害から守っている。

そしてT細胞では、細胞を殺す役目のキラー細胞が増えると同時に、その威力を高める。

感染細胞の内部ではウイルスが増殖しているが、キラー細胞は感染細胞もろともウイルスを破壊するのである。

免疫系はまさに軍隊である。

このため、もし過剰にはたらけば、病原体ばかりか、ヒト細胞をも攻撃してしまう。

こうして慢性関節リウマチなどの自己免疫疾患が発生する。

だが、もし免疫系のはたらきが弱ければ、病原体やがん細胞を撃退できないため、感染症やがんが発生する。

免疫系が適度な強さでなければ、病気が発生することがわかる。

このため免疫系は、無差別に細胞を攻撃しないように、それでいて効果的であるように、 脳と内分泌系から絶えず調節を受けているのである。






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